個人の力と組織力
ついにJリーグが開幕した.
ファンには待ちに待った「蹴春」の季節の到来だ.
昨季リーグ制覇を達成したわれらが浦和レッズは,開幕戦でJ2王者の横浜FCとの対戦となった.
スーパーカップに大敗して1週間.
どれだけチームが修正されているのかが注目されている点だった.
前半は個人の技術とパスワークで,横浜FCを圧倒.
最初に試合を動かしたのは浦和だった.
ワシントンの見事なポストプレーから,ポンテがゴール前に蹴りこんだボールがオウンゴールをさそった.
対する横浜FCは新加入の久保が魅せた.
前半終了間際,第一節のベストゴールは生まれた.
ハーフラインを超えたあたりでボールをキープしていた久保の左足が,突如牙をむいた.
まさに圧巻だった.
GKを責めることもできないほどのビューティフルゴールだった.
美しい軌道を描いたボールはゴールに吸い込まれた.
もしかすると,今シーズンのベストゴールが開幕戦で生まれたのかもしれない.
このゴールにより1対1で前半を折り返す.
後半,運動量の落ちた浦和は連動性をかき,攻撃は前線の選手,守備は守備的な選手が担当.
スーパーカップに続きあまりにも不甲斐ない戦いぶりを露呈した.
対する横浜FCは久保以外が個人の力で対等に戦うことができず,両チームともに攻めあぐねる形がつづく.
たよりの久保も気をはく横浜FCの中で運動量が落ち,集中力をかいており見せ場は作れなかった.
浦和の攻撃も,中にボールを放り込むだけの単調なものになっていた.
それでもゴールの匂いが漂うのは,前線にワシントンと言う最強の「個」がいるおかげだろう.
彼の威圧感はJの中で群を抜いており,その強さは誰もが知るところだ.
両チーム決定機を欠く中,試合が動かしたのはやはり浦和の「個」の力.
ここまで浦和の「個」を,チームとしての「組織」でカバーしてきた横浜FCの守備のほころびを見逃さなかった.
後半終了間際,横浜ディフェンスの中途半端なクリアが,レッズ永井の下に.
ボールをとった永井は,トラップの次の瞬間,目の前にいたDFを股抜きで交わし,追いすがるDFを置き去りに,力強いシュートを横浜ゴールにぶち込んだ.
「組織」を「個」の力が圧倒した瞬間だった.
試合結果は2対1で浦和に軍配.
それでも内容の悪さに,誰一人納得する事はできなかっただろう.
今後に大きな課題を残したレッズ.
対する横浜は個の力では到底及ばぬレッズに予想以上の善戦をした.
昨シーズンJ2を制した,高木監督が築き上げた守備力はJ1でも通用する.
あとは久保頼みとなっている攻撃陣をどう奮起させるかだ.
高木監督の本当の実力が試されるのは今年なのかもしれない.
それでも一昨季と違い,可能性を感じさせるチームに成長した事は間違いない.
その右腕に注目していこう.
J1第一節の試合結果は以下の通り.
千葉 0-2 名古屋
広島 4-2 FC東京
磐田 0-4 柏
大宮 0-1 G大阪
清水 1-0 神戸
浦和 2-1 横浜FC
鹿島 0-1 川崎F
大分 1-1 新潟
甲府 0-1 横浜FM